- 経過:
- 上口唇の点状色素斑が消退し、口元全体の色調が均一になりました。白斑・瘢痕・色ムラは認めていません。
- 施術内容:
- ピコレーザーを照射しシミをとる施術(ピコスポット)
- 副作用・リスク:
- 腫れ・痛み(数時間程度)、薄いかさぶた、炎症後色素沈着(3か月から半年で改善することが多いとされます)、脱色素斑、内出血、口唇ヘルペスの誘発
- 施術の価格:
- 1mm 4,400円(税込)、表面麻酔代5,500円(税込)


唇のシミは、顔の中心にあって笑ったときに最も動く場所にできるため、面積のわりに印象を大きく左右します。それでいてリップメイクでは隠しきれないことが多く、治療を考えたときには「唇は難しい部位だから」と断られてしまう。当院には、そうした経緯でお越しになる方が少なくありません。
唇のシミ取りとは、赤唇部(せきしんぶ、唇の赤く見えている部分)にできた色素斑に対してピコセカンドレーザーを照射し、メラニン色素を微細に破砕して目立たなくする治療です。唇の色素斑で最も多いのは口唇黒子(こうしんこくし、labial melanotic macule)で、表皮基底層のメラノサイトが局所的に活性化し、メラニンを過剰につくっている状態を指します。数ミリまでの境界がはっきりした褐色斑として、上口唇や下口唇に点々と現れるのが典型的です。
当院では、境界のはっきりした点状のシミにはピコスポットを、唇全体のくすみや色ムラにはピコトーニング唇を用い、状態に応じて使い分けています。
唇のシミ取りをためらわせている最大の理由が、この「白斑になる」という説明です。当院では口唇の色素斑に対するレーザー治療の文献を機種・年代を問わず調べ、実際にどこまで報告されているのかを確認しました。赤唇部そのものに永久的な白斑が生じたという症例報告は、見当たりませんでした。
調べた内容は、慎重を要する点も含めてコラム「唇のシミ取りは本当に白斑になる?」で詳しく解説しています。不安をお持ちの方は、あわせてご覧ください。
まずは、実際に当院で治療を受けられた方の経過をご覧ください。
当院で唇のシミ取りを受けられた方の経過です。いずれも上段が施術前、下段が2週間後です。掲載はすべて、ご本人の同意を得たうえで行っています。
30代女性・施術2週間後

赤唇部の色素斑・治療2週間後

男性・治療2週間後

上口唇に点状のシミが多発・治療2週間後

口元の色ムラ・治療2週間後

上下の口唇に濃い色素斑・施術2週間後

当院ではこれまでに、唇のシミ取り(ピコスポット照射)を500件以上担当してまいりました。そのなかで、白斑を生じた方は1人もいらっしゃいません。白斑のリスクを理由に他院で治療をお断りされ、当院にお越しになった方も含まれています。
2021年12月から2026年7月までに当院で唇のシミ取りを施行した全症例の診療録に基づく集計です。これは当院におけるこれまでの経過を記載したものであり、今後お受けになるすべての方について、脱色素斑をはじめとする合併症が生じないことをお約束するものではありません。リスクの可能性については、診察時に必ずご説明いたします。
唇のシミ取りは公的医療保険が適用されない自由診療(全額自己負担)です。効果のあらわれ方、必要な回数、経過には個人差があります。掲載写真はすべて当院で施術を行った患者さまのもので、ご本人の同意を得て掲載しています。
唇のシミ取りの症例写真をもっと見る唇全体のくすみに対してピコトーニング唇を行った方の経過です。いずれも上段が施術前、下段が5回照射後です。掲載はすべて、ご本人の同意を得たうえで行っています。
30代女性・唇全体のくすみ・5回照射後

30代女性・上口唇のくすみ・5回照射後

ピコトーニング唇は公的医療保険が適用されない自由診療(全額自己負担)です。費用は1回7,700円(税込)、5回コース33,000円(税込)、10回コース59,800円(税込)です。効果のあらわれ方、必要な回数、経過には個人差があります。掲載写真はすべて当院で施術を行った患者さまのもので、ご本人の同意を得て掲載しています。
唇が赤く見えるのは、赤い色素があるからではありません。赤唇部は上皮がわずか3〜5細胞層しかなく(顔の皮膚は16層)、その下に毛細血管が高密度に走っているため、血液の色がそのまま透けて見えています。解剖学の標準的な資料でも、赤唇部が赤い理由は「メラノサイトが乏しく、表在血管が高密度であること」と説明されています。
| 項目 | 赤唇部(唇) | 顔の皮膚 |
|---|---|---|
| 上皮の細胞層 | 3〜5層 | 16層 |
| 表在血管 | 高密度・表層近くまで到達 | より深部 |
| 毛包・汗腺 | いずれも存在しない | 存在する |
| バリア機能 | 頬の約3倍 水分が逃げやすい | 基準 |
とくに重要なのが毛包の有無です。皮膚のメラニン色素が失われたあと色が戻る過程では、毛包にひかえているメラノサイト幹細胞が重要な役割を果たすと考えられています。赤唇部には毛包がないため、万一色素細胞を失った場合には戻りにくい部位です。頻度が低いことと、起きたときに戻りにくいことは別の問題であり、当院が慎重に照射している最大の理由がここにあります。
日本皮膚科学会雑誌に報告された口唇メラノーシス106例の研究によると、20歳代の女性に好発して全体の約42%を占め、約80%に慢性口唇炎や化粧品・外用薬の長期使用歴があり、約50%にアトピー性皮膚炎の合併がありました。組織学的にも炎症後色素沈着の所見を示しています。
つまり、日本人の唇のくすみやシミの多くは、リップの塗り直しによる摩擦、乾燥、口唇炎といった慢性的な刺激の積み重ねによって後天的に生じていると考えられます。当院に唇のシミ治療でお越しになる方にも、アトピー性皮膚炎による口唇炎を経験された方が多くいらっしゃいます。原因が刺激であるならば、治療後の日常のケアが再発予防に効いてきます。
「唇の色が気になる」というご相談は、大きく2つに分かれます。境界のはっきりした点状のシミなのか、唇全体がぼんやり暗いのか。この2つは原因も治療も異なります。
| 項目 | ピコスポット | ピコトーニング唇 |
|---|---|---|
| 向いている状態 | 境界のはっきりした点状・斑状のシミ(口唇黒子など) | 唇全体のくすみ、色ムラ、ぼんやりとした暗さ |
| 当て方 | シミ1つずつにピンポイントで照射 | 低出力で唇全体に、複数回にわたって照射 |
| ダウンタイム | 照射部が薄いかさぶたになり、1週間前後で自然に脱落 | かさぶたは基本的にできず、生活の制限はほとんどなし |
| 回数の目安 | 1回で改善が見込まれることもあり。濃い場合は複数回 | 5回・10回と重ねて少しずつ整える |
どちらが適しているか、あるいは両方を組み合わせたほうがよいかは、診察のうえでご提案します。点状のシミを先に取り、そのあと全体の色調をピコトーニングで整えるという順番をおすすめすることもあります。
ピコ秒(1兆分の1秒)という極めて短いパルス幅では、熱が周囲に広がる前に照射が終わるため、光熱作用ではなく光音響作用(衝撃波でメラニンを微細に砕く働き)が主体となります。周囲に広がった熱こそが標的でない細胞まで巻き込む要因ですから、熱拡散が少ないことは赤唇部にとって理にかなっています。そのうえで、次の5点を徹底しています。
視診と問診で、口唇黒子・ほくろ・炎症後色素沈着などを鑑別します。唇や口腔内に色素斑が多発している場合には、ごくまれにポイツ・ジェガース症候群といった全身に関わる病態が背景にあることがあります。全身疾患を示唆する所見があれば、美容治療より先に適切な診療科をご案内します。あわせて唇のアートメイクの有無、尋常性白斑の既往・家族歴、口唇ヘルペスの再発歴も確認します。
同じ「唇のシミ」に見えても、色素の濃さや深さは一人ひとり異なります。判断が難しい症例では、目立ちにくい部位に低出力で試験照射を行い、照射直後の反応を確認したうえで、その方に必要な最小限のエネルギーを決定します。教科書どおりの設定をそのまま当てるのではなく、目の前の組織の反応で決めるという考え方です。
フルエンスとは、単位面積あたりに照射されるエネルギー量のことです。濃い色素斑を1回で完全に消そうとすれば必要なフルエンスは高くなり、それだけ合併症のリスクは上がります。当院では濃い病変ほど複数回に分けて段階的に薄くしていきます。早く取ることよりも、取り返しのつかない結果をつくらないことを優先するという判断です。そのため取り放題メニューでは再照射を無料で行っています。
同じ場所に繰り返し照射すると、1回ごとの出力が低くてもエネルギーは蓄積します。照射範囲を管理し、同一スポットへの無駄な重複照射を避けています。とくに赤唇部と皮膚の境界(皮膚粘膜移行部、いわゆるリップライン)付近では、さらに慎重に出力を落として照射します。ただし濃いシミが層状に重なっている場合は重ね打ちが必要になりますので、これまでの経験をもとに慎重に判断します。
色素沈着のリスクを高めるもうひとつの要因が、術後の炎症が遷延することです。軟膏を処方し、遮光と摩擦刺激の回避についてご説明しています。かさぶたを無理に剥がさない、辛い食べ物や熱い飲み物で刺激しない、こすらないといった日常の積み重ねが結果を左右します。もともとの原因が慢性的な刺激であることが多い以上、ここは再発予防としても重要です。口唇ヘルペスの再発歴がある方には、必要に応じて事前の対策をご相談します。
唇にアートメイクが入っている方は、色素にレーザーが反応して思わぬ変色を起こすことがあるため、原則として照射をお受けしていません。将来的にアートメイクをお考えの方は、シミ取りを先に済ませてからアートメイクへ進む順番が安全です。このほか、活動性の炎症や感染がある場合、色素斑が全身疾患に伴うものと疑われる場合、妊娠中・授乳中の方には、治療をおすすめしないか、時期を改めてのご相談をおすすめしています。
| メニュー | 料金(税込) |
|---|---|
| ピコスポット(シミ取り)直径1mm | ¥4,400 |
| 表面麻酔代 | ¥5,500 |
| 唇のシミ取り放題(表面麻酔代込み) | ¥88,000 |
| ピコトーニング唇 1回 | ¥7,700 |
| ピコトーニング唇 5回コース | ¥33,000 |
| ピコトーニング唇 10回コース | ¥59,800 |
唇のシミ取り(ピコレーザーによるピコスポット照射)およびピコトーニング唇は、公的医療保険が適用されない自由診療(全額自己負担)です。費用はピコスポットが直径1mmあたり4,400円(税込)、表面麻酔代5,500円(税込)、ピコトーニング唇が1回7,700円(税込)・5回33,000円(税込)・10回59,800円(税込)です。主なリスク・副作用として、腫れ・痛み(数時間程度)、薄いかさぶたの形成、炎症後色素沈着、脱色素斑(白斑)、内出血、口唇ヘルペスの誘発などが挙げられます。効果のあらわれ方、必要な治療回数、経過には個人差があります。治療をお受けになる前に、必ず医師の診察をお受けください。




診察をしてみないと確実なことは申し上げられませんが、機器や診療方針の違いによってお断りされたケースでは、当院で対応できる場合があります。当院には、白斑のリスクを理由に治療をお断りされた方も来院されており、その経過は症例写真でご覧いただけます。一方、唇にアートメイクが入っている、活動性の炎症がある、全身疾患に伴う色素斑が疑われるといった医学的な理由がある場合は、当院でも治療をおすすめしないことがあります。まずはご相談ください。