裏ハムラの失敗例と回避法|原因と修正を医師が解説
目の下のクマを治したい。けれども「裏ハムラ 失敗」と検索した瞬間、手が止まってしまった。凹んでしまった、左右差が出た、結局クマが残った。そうした言葉が並ぶ画面を前に、予約ボタンを押せないまま何日も過ぎている。そんな方は少なくありません。
その迷いは、慎重さのあらわれであって、決して臆病さではありません。目の下は顔の印象を最も大きく左右する部位です。しかも手術は、髪型やメイクのようにやり直しがききません。不安になるのは、むしろ自然なことです。
このコラムでは、裏ハムラ法で「失敗」と呼ばれる状態にはどのようなものがあるのか、その医学的な原因はどこにあるのか、そして受ける側としてどう回避すればよいのかを、浦和のBRIGHTS beauty clinic院長・今村直樹が解説いたします。読み終えるころには、漠然とした恐怖が「確認すべきポイント」という具体的なチェックリストに変わっているはずです。
裏ハムラ法(経結膜的眼窩脂肪移動術)とは、下まぶたの裏側の結膜を数ミリ切開し、突出した眼窩脂肪を切除せずに前方へ移動させ、目の下の溝(ティアトラフ)の凹みへ移し替えて固定することで、ふくらみと凹みの段差を同時に平坦化する手術です。皮膚を切らないため、表面に傷跡が残りません。
目次
そもそも「失敗」なのか、経過の途中なのか
最初に整理しておきたいことがあります。インターネット上で「失敗した」と語られている状態の多くは、実際には回復の過程にある一時的な変化です。この2つを混同すると、必要のない不安を抱えたまま日々を過ごすことになってしまいます。
術後に必ず生じる腫れ、内出血、そして拘縮(こうしゅく:組織が修復される過程で一時的に硬くなり、引きつれたように感じる現象)は、時間の経過とともに落ち着いていきます。とくに拘縮は術後2週間から1ヶ月ごろに最も強く感じられ、そのタイミングで「凹んだ」「かえって不自然になった」と感じる方がいらっしゃいます。しかしこれは仕上がりではなく、途中経過です。
経過の目安(個人差があります)
- ● 術後3日〜1週間:腫れ・内出血のピーク。人前に出るのが気になる時期
- ● 術後2週間〜1ヶ月:拘縮の時期。硬さ・段差・左右差を感じやすい
- ● 術後3ヶ月:組織がなじみ、おおよその形が見えてくる
- ● 術後6ヶ月:最終的な仕上がりの評価時期
つまり、本当の意味での仕上がりを判断できるのは、術後6ヶ月が経過してからです。ここでいう「失敗」とは、その時期を過ぎても残る、仕上がりに関わる問題を指します。以下では、その内容を具体的に見ていきます。
裏ハムラで起こりうる4つの失敗と、その医学的な原因
1. 効果不足(ふくらみやクマが十分に取れない)
最も多いのがこのケースです。原因は主に2つあります。1つは、移動させる眼窩脂肪の量が不足していること。もう1つは、ティアトラフ靭帯(目の下の凹みの原因となる、皮膚と骨をつなぐ靭帯)の剥離が不十分なことです。
目の下の段差は、脂肪が前に出ていることと、靭帯が皮膚を骨側へ引き込んでいることの、両方によって生まれます。そのため脂肪を移動させるだけで靭帯の解放が甘いと、凹みの線がそのまま残り、「クマは薄くなったが、まだ線が見える」という結果になります。
2. 凹み・くぼみ(取りすぎ、移動させすぎ)
効果不足とは逆に、脂肪を移動させすぎたり、余剰分を切除しすぎたりすると、眼窩(がんか:眼球が収まっている骨のくぼみ)の縁に沿って影ができ、疲れた印象やこけた印象になります。とくに、もともと眼窩脂肪の量が少ない方や、頬の脂肪が薄い方でこのリスクが高まります。
裏ハムラは「脂肪を捨てずに移動させる」術式であるため、脱脂単独と比べれば凹みは生じにくい手術です。ただし、術中に余剰脂肪を処理する判断を誤れば、凹みは起こりえます。裏ハムラなら絶対に凹まない、というわけではありません。
3. 左右差・段差・凸凹
移動させた脂肪の固定位置や量が左右で異なると、左右差として現れます。また、脂肪を均一に広げられなかった場合には、表面に凸凹(デコボコ)が触れることがあります。
ここで知っておいていただきたいのは、そもそも人間の顔は完全な左右対称ではないという事実です。骨格の左右差、眼球の突出度の差、もともとの脂肪量の差は誰にでもあります。手術はその差を縮めることはできますが、完全にゼロにすることはできません。術前から存在した左右差が、術後に「気づきやすくなった」というケースも一定数あります。
4. クマが残る(そもそも術式の選択が合っていない)
これは技術ではなく、診断の問題です。目の下のクマには大きく3種類あり、裏ハムラが有効なのはそのうち「影クマ(黒クマ)」です。
| クマの種類 | 原因 | 主な治療の方向性 |
|---|---|---|
| 影クマ(黒クマ) | 眼窩脂肪の突出とティアトラフの凹みによる段差の影 | 裏ハムラ法・脱脂・脂肪注入などの外科的治療 |
| 青クマ | 皮膚が薄く、その下の眼輪筋や血管が透けて見える | 皮膚の厚みを増やす治療、生活習慣の見直し |
| 茶クマ | 摩擦や紫外線による色素沈着 | 外用薬・レーザーなどの色素治療 |
実際には、複数のクマが混在している方が大半です。たとえば影クマと茶クマが重なっている方が裏ハムラのみを受けた場合、段差は改善しても色味は残ります。そして本人からは「クマが治っていない」と感じられます。手術そのものは適切に行われていても、事前の説明が不十分であれば、それは体験としての失敗になってしまいます。
失敗を回避するために、受ける側ができる5つのこと
ここまでの原因を踏まえると、回避のポイントは自ずと定まります。手術は医師が行うものですが、クリニックを選ぶのは患者さまご自身です。以下の5点は、カウンセリングの場で必ず確認していただきたい項目です。
1. クマの種類を診断してもらえたか
「あなたのクマは影クマが主体で、茶クマがこの程度混じっています」という説明があるかどうかが最初の分かれ道です。診察もそこそこに術式だけを提案された場合は、いったん持ち帰る判断も必要です。
2. 裏ハムラ以外の選択肢も提示されたか
脱脂、脂肪注入、表ハムラ(皮膚側から切開する術式)など、それぞれに適応があります。どの相談にも同じ術式が返ってくるとすれば、それは診断ではなく販売です。適応外であるならば「あなたには向きません」と言えることが、医師の誠実さだと考えています。
3. 執刀医が誰かを確認したか
カウンセリング担当者と執刀医が別であったり、当日まで執刀医が分からなかったりする体制では、術前に共有したイメージが手術台まで正確に届くとは限りません。誰が診察し、誰が執刀するのかは、必ず確認してください。
4. 自分と似た状態の症例写真を見せてもらったか
きれいな症例写真は、その医師が得意とする条件で撮られていることがあります。大切なのは「自分と似た骨格・脂肪量・年代の方の経過」です。加えて、術後1ヶ月の途中経過も見せてもらえると、拘縮期の姿を事前に知ることができ、術後の不安が大きく減ります。
5. リスクと限界の説明があったか
良い面しか語られないカウンセリングは、かえって危険です。左右差が完全にはなくならないこと、加齢変化は手術後も進むこと、皮膚のたるみが強い場合は裏側からのアプローチだけでは対応しきれないこと。こうした限界を先にお伝えするのが、本来の説明です。
修正はできるのか 仕上がりに問題が残った場合、効果不足であれば追加の処置を、凹みであれば脂肪注入などによる補填を検討します。ただし一度手術を受けた部位は組織が癒着しており、初回よりも難易度が上がります。だからこそ、最初の1回の判断が最も重要になります。
正しく選べたとき、目の下はどう変わるのか
診断が合い、適応が合い、丁寧に手術が行われたとき、目の下は「何かをした顔」にはなりません。ふくらみと凹みの境目がなだらかにつながり、朝の光の下でも、夕方の会議室の照明の下でも、影が落ちにくくなります。
変化は劇的というより、指摘のされ方で気づくことが多いようです。「痩せた?」「よく寝てる?」と聞かれる。写真を撮られるときに、無意識に下を向く癖がなくなる。コンシーラーを重ね塗りしていた時間が、そのまま朝の余白になる。効果のあらわれ方には個人差がありますが、多くの方がこうした日常の変化を実感されます。
浦和駅から徒歩5分のBRIGHTS beauty clinicでは、院長がすべての診察と執刀を担当しております。裏ハムラ法が適応でないと判断した場合には、その理由と代わりの選択肢をお伝えしています。まずは、ご自身のクマがどの種類なのかを知るところから始めていただければと思います。ダウンタイムの実際の経過については裏ハムラのダウンタイム解説コラムで写真とともに公開しております。
不安なままで、決めなくて大丈夫です
カウンセリングでは、クマの種類の診断と、適応の有無、そして考えられるリスクまでお伝えします。その日に決めていただく必要はありません。
よくあるご質問(FAQ)
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この記事の監修者
BRIGHTS beauty clinic 院長 今村 直樹
美容外科医。医療法人珀美会 理事長。浦和駅から徒歩5分のBRIGHTS beauty clinic(埼玉県さいたま市浦和区仲町1-4-12 Crobis浦和5F)にて、裏ハムラ法をはじめとする目の下の治療を中心に、診察から執刀まで一貫して担当しています。
自由診療・リスクに関するご案内
裏ハムラ法(経結膜的眼窩脂肪移動術)は公的医療保険が適用されない自由診療(全額自己負担)です。料金は料金表をご確認ください。主なリスク・副作用として、腫れ、内出血、痛み、拘縮による一時的な硬さ、左右差、凹凸、結膜の充血、まれに感染、血腫、下まぶたの形態変化などが生じる可能性があります。効果のあらわれ方や経過には個人差があり、加齢による変化は手術後も進行します。施術をご検討の際は、必ず医師の診察をお受けください。