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なぜ!?年齢とともに顔がたるんできた。一体何が起きてるの?原因と対処法
なぜ!?年齢とともに顔がたるんできた。一体何が起きてるの?原因と対処法
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誰しもが避けては通れない「老化」。昔の写真と今の自分を見比べてみて、ショックを受ける人も多いはず。私も30代半ばを迎えて顔の至るところが少したるんできたなあと日々感じています。このコラムでは、一体に顔に何が起きているのか、どうすれば対処できるのかを解説していきます。お顔の老化にお悩みの方はぜひ本記事をお読みください。

顔の老化は「ボリューム減少とタルミ」!

全身で老化は起こりますが、顔面の場合はあらゆる層で生じるボリューム減少(ボリュームロス)と下垂が重なり合うように起こります。あらゆる層というのは、骨格、靭帯、脂肪組織、筋肉、皮膚です。

①骨格

顔の土台でありフレームです。年齢とともに骨吸収が起こり骨自体が痩せてきます。しかも一様に痩せるのではなく、痩せやすい特定の部分が存在します。これを選択的骨吸収といいます。選択的骨吸収が起きやすいのは、眼球を取り囲む部分(眼窩)、鼻腔付近(梨状口)、こめかみ(側頭骨)、アゴ周囲(下顎骨)、ゴルゴライン付近(上顎骨)、額の中心付近(前額骨)です(図1)。

②靭帯

顔面には支持靭帯(retaining ligament)が存在し、骨から皮下まで貫通して伸びており、皮膚、脂肪、筋肉を骨格に固定しています。この支持靭帯も加齢とともに伸びていきます。靭帯の上に乗っかるように脂肪組織や皮膚がたるんでくるので、靭帯の部分に一致して溝ができてきます。ゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットラインなどはこの変化が顕著に現れます。

③脂肪組織

顔面の脂肪はいくつものコンパートメントに区切られており、支持靭帯で境界されています。この区分けされた脂肪はメーラーファット、ジョールファット、バッカルファットなどのように特定の名称で呼ばれたりします。加齢とともに脂肪も萎縮します。単に萎縮するだけでなく、骨格のボリュームロスや支持靭帯のたるみにより、下垂していくためシワやタルミ、凹凸の原因になります。

④筋肉

人間は他の動物と違って豊かな表情を作るため、たくさんの筋肉が存在します。まとめて表情筋といいます。体部の筋肉(骨格筋)は骨と骨とを結ぶように存在しますが、表情筋は皮膚に付着しているのが特徴です。筋肉も加齢とともにたるみます。しかし、表情筋は毎日動かしているため、骨格筋ほど萎縮は起きづらいです。

⑤皮膚

皮膚の場合は自然老化だけでなく、光老化の影響を強く受けます(光老化に関するドクターコラムはこちら)。真皮層にあるコラーゲンが失われ、薄く伸びる様に変化し、タルミやシワができ徐々に深くなっていきます。目元や口元などよく動かす部位ほど皮膚がたるみやすいです。

ボリューム減少とタルミの結果どうなる!?

以上説明した①〜⑤の変化が同時多発的、また相互作用を及ぼしながら顔の老化は進行します。その結果として、額やアゴは平坦化します。また、ほうれい線やマリオネットライン、ゴルゴラインが深く目立つようになります。眼球は落ち窪む様になり、眼窩脂肪(目の下に膨らみ)の突出します。コメカミは骨吸収の影響で凹み、頬の脂肪は下垂するために頬骨弓が目立つようになります。小鼻は広がり鼻筋は低くなってしまいます。抽象的な表現ですが、人は老化していくにつれ「全体的にのっぺりとした顔貌」になります。人は高齢者にみんな似たような顔になっていくと思われる方も多いと思いますが、それは皆が同じ加齢性変化をたどるためです。

ボリュームロスに対する加齢性変化には注入治療が最適

骨や脂肪組織は先に書いた通り、年齢とともにボリュームロスを起こしていきますので、ボリュームアップのためのフィラー(充填剤)が必要になっていきます。フィラーといえば最もメジャーなのはヒアルロン酸製剤ですが、ハイドロキシアパタイトやポリカプロラクトンといった成分からできている製剤もあります。今では有害性があることが分かり使われておりませんが、以前は液状シリコンやアクアミド(ポリアクリルアマイド)といったものも存在しました。最近では自家組織である脂肪を太ももや腹部から吸引して顔に注入する治療も人気です。脂肪注入も顔のボリュームロス改善目的に使用されることからフィラーの1種と言えるでしょう。現在行われているフィラー治療の主流はヒアルロン酸と脂肪注入ですので、その二つについて解説します。

ヒアルロン酸注入の特徴

◯ヒアルロン酸のメリット

・ダウンタイムが短い

入れたら入れた分だけ効果が出る(仕上がりの予測がつきやすい)

・少量入れる分には金額が安い

・アレルギー反応を起こしづらい(脂肪注入も同様)

・溶解剤(ヒアルロニダーゼ)で容易に溶かすことができる(簡単にやり直しができる)

・製剤の種類が豊富なため部位に適したヒアルロン酸を注入できる(鼻やアゴは柔らかい脂肪注入は不向き)

◯ヒアルロン酸のデメリット

・持続が短い(製剤によるが数ヶ月〜2年程度)

・大量に注入する場合は脂肪注入と変わらないくらいの金額になる

・血管塞栓のリスクがある(脂肪注入も同様)

脂肪注入の特徴

◯脂肪注入のメリット

・定着すれば効果は長期間〜半永久(ただし1回で満足いく結果にするのは難しい)

・自家組織なのでアレルギーは出ない

◯脂肪注入のデメリット

・ダウンタイムが長い(脂肪吸引が必要、注入するカニューレもヒアルロン酸より太い)

注入しても約半分はすぐに吸収されてしまう(完成の予測が難しい、不均一に吸収されて凹凸ができることがある、複数回の注入が必要)

・血管塞栓のリスクがある(ヒアルロン酸も同様)

・溶かすことができない(入れすぎた場合のやり直しが難しい)

柔らかいため、鼻やアゴなどの形成には向かない

ぶっちゃけ、どちらがオススメ!?

ヒアルロン酸と脂肪にはそれぞれ得意な箇所と不得意な箇所があります。例えば鼻やアゴなどの硬さが必要な部位では絶対にヒアルロン酸が良いです。特に当院で採用しているクレヴィエルコントアは世界最硬のヒアルロン酸であり、プロテーゼと遜色ないくらい本当に綺麗な鼻やアゴを形成できます。おでこや頬などはどちらでも良い結果になると思います。逆に目の下(眼窩縁の凹み)などの皮膚が薄い部分は、ヒアルロン酸はチンダル現象と言って皮膚が半透明みたいな色味になることがあり、自家組織である脂肪の方が綺麗に仕上がることもあります。

トータル的に判断して、美容整形初心者の方にどっちをオススメするかと言われたら、ヒアルロン酸に軍配が上がります。やはり1度の注入で安定した結果を出せること、ダウンタイムが短いこと、溶解剤で簡単に溶かせるため万一の時の安全性が高いこと等は脂肪注入にはないメリットです。SNSでは脂肪注入した直後の写真を掲載しているクリニックが多数ありますが、あれらは決して完成形ではなくあの状態から約半分は比較的すぐに吸収されてしまうということを忘れてはいけません。一般的に脂肪注入で満足いく結果を出すのには2〜3回の注入が必要で、その度に脂肪吸引が必要というのはかなりハードルの高い治療なのです。ヒアルロン酸と脂肪注入を比較した際に、「ヒアルロン酸は吸収されてしまうからずっとやり続けないといけないから嫌だ」とおっしゃる方も多く、お気持ちは良く分かります。しかしヒアルロン酸も同部位に少し残っているうちに何回か注入すると吸収がゆっくりになり、かなり長持ちするようになりますのでご安心を。

ボリュームアップに頼りすぎるのはNG。バランスが大事!

これまで述べてきたように、ヒアルロン酸や脂肪注入は顔のボリュームロスを補うことができ、若々しい顔になるのに非常に有効な手段です。ただその効果が絶大であるが故にどんどん依存してしまう患者様もいらっしゃいます。ボリュームロスを補うということは、すなわちボリュームアップしていくということですから注入しすぎてしまうと顔がどんどん膨張していってしまうのです。テレビなどを観ていると、明らかに以前と顔が変わったと思われる人っていますよね、顔がパンパンになっている人。他人から見ると明らかに不自然なのに本人はあまり気にしていない。本人が気に入っているのなら別にそれでも良い気はしますが、せっかく美容医療を行うなら他人から見ても綺麗に見られたいものです。

先に書いたように、骨はどんどん萎縮していきますが、逆に皮膚は伸びて余ってきてしまいます。そこをヒアルロン酸や脂肪注入だけで改善しようとすると、どんどん注入を繰り返していかなければなりません。そうすると自分では止め時が分からなくなり気付いた時にはパンパンな顔になってしまっているのです。これを防ぐにはリフトアップ(糸リフトや切開リフトなど)を組み合わせることで防げます。本コラムの最初の見出しにあったように、顔の老化は「ボリューム減少」と「タルミ」からきています。ボリューム減少を補うのがヒアルロン酸や脂肪注入であるのに対し、タルミを改善するのが糸リフトや切開リフトなのです。この両者のバランスを維持しながら治療をしていくことで、若々しく尚且つ自然な顔貌が維持されるのです。

【裏話】クリニック経営からすると脂肪注入がお得!?

実はヒアルロン酸は原価がとても高い施術の一つです。たとえば額の丸みを出したり豊胸では大量のヒアルロン酸が必要になります。あまり金額を高くしてしまうと誰も施術を受けてくれなくなりますので、なるべく安くします。それに対して脂肪注入の場合はどれだけ注入しようが、材料は患者様の脂肪なので材料費はかかりません。ヒアルロン酸と脂肪注入で施術価格が同じくらいの場合は、脂肪注入の方が原価は圧倒的に安くなりますので、クリニック側の儲けが大きいのです。もちろん、患者様が納得された上で受けるのであれば脂肪注入も良い治療ですが、目の下のふくらみ取りを受けたい方に目の下の脂肪注入を必須と言い張ったり、ヒアルロン酸希望の方に無理やり脂肪注入を勧めているクリニックもありますので注意が必要です。

本コラムのまとめ

・顔の老化は、「骨格」「靭帯」「脂肪組織」「筋肉」「皮膚」のボリューム減少と下垂(タルミ)が複雑に絡み合って起こる

・加齢性変化により顔はどんどん平坦化し、シワやタルミが大きくなる

・顔のボリュームロスの治療にはヒアルロン酸や脂肪注入がある

・どちらか迷っている人にはヒアルロン酸の方がオススメ

・糸リフトやフェイスリフトなどタルミを改善する施術と組み合わせることでより若返り効果を出せる

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

私は日本美容外科学会認定の美容外科専門医を取得しており、顔の注入治療やリフトアップの症例経験も豊富ですので、ご興味を持って頂いた方はぜひ当院へご来院いただければと思います。

当院では電話予約(048-767-5900)の他にも、このホームページの右上にある「WEB予約ボタン」や公式LINEからのご予約に対応しております。

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